今日は、久しぶりに義父の話です。
我が家の義父は、ただのおじいちゃんではない(ような気がしています)。
ニュースを見れば即座に受話器を取る、「歩く災害対策本部」なのです。
その「本部」から、頻繁に緊急指令が入ります。
「不在の報告」が「遭難の警告」にすり替わる
先日、家族で北海道旅行に行きました。
出発の数日前、私は義父に電話を入れました。 「旅行で数日間いないからね」 「もし何かあったら親戚の〇〇さんに連絡してね」
これは、義父に万が一のことがあった時のための危機管理です。 「私たちがいない間に倒れたりしないでね(頼むよ)」という、切実な願いを込めた業務連絡でした。
しかし、出発当日の朝。
空港に着いた頃に、私のスマホが震えました。
画面には「義父」の文字。
(うわっ! まさか出発直前に体調急変!? 救急車!?)
心臓が口から出そうになりながら、慌てて電話に出ました。
「もしもし!? お義父さん、どうしたん!?」
すると、受話器の向こうから、切迫した、しかしどこか生き生きとした声が。
「おい! ニュース見たぞ!! 寒波がくるみたいやないか!!!」
……はい?
「飛行機は飛ぶんか!? 向こうで遭難せんように気をつけーよ! 足元が悪いぞ!!」
あ、あの……お義父さん。 私達、まだ空港ですけど。

どうやら義父、朝のニュースで「北国の雪」を見た瞬間、スイッチが入ったようです。スイッチが入ると我慢できずに、私に電話がかかってきます(息子にかければいいのに…)。
こちらの「あなたが心配だから親戚に伝えておいた」という配慮は完全にスルー。 まさかの「現地の天気予報」を、わざわざ電話で実況中継してきました。
「わかっとるか? 靴は滑らんやつか? 空港はいけとるか?」
矢継ぎ早に飛んでくる質問。 私が北海道に行くのか、南極観測隊に行くのか分からなくなってきました。
ウイルスも「この人は無理」と諦めるレベル
でも、電話を切りながら思いました。
この人、なんやかんや元気よね、と。
ここ最近も施設から頻繁にホットライン(電話)が入ります。
「施設でインフルが出たぞ! わしは部屋から一歩も出ん!」 「リハビリでコロナが出たらしい! こっち来たらいかんぞ!」「小学校でもインフルが流行っとるらしいぞ!」
毎回、世界の終わりのようなテンションで私に報告してきます。
でも思い返してみると、義父が流行り病にかかったこと、一度もないんです。
先日、ふと「お義父さんってインフルエンザになったことある?」って聞くと、 「そういえば、ないなー」と考え込みながら言っていました(笑)。
数年前、同居していた頃、我が家がコロナで全滅したあの地獄の日々。 夫も私も高熱でうなされ、娘もぐったり。
そんな中、家の中で一番高齢で、一番基礎疾患がある義父はどうだったか。私も夫も一番心配していましたが……、ピンピンしていました。
「わしもいつどうなるかわからん!(ブルブル)」と言ってはいましたが、結局なにもなし。
ウイルスの方が「あ、この親父のところに行くのはやめとこう」「うるさそうだし」と、忖度して避けて通ったとしか思えません。

きっと義父にとって「心配」や「恐怖」は、ストレスではなく燃料なんです。
「大雪だぞ!」「インフルだぞ!」と騒ぐことで、体内の細胞が活性化し、アドレナリンがドバドバ出て、免疫力が爆上がりしているに違いありません。
帰還した途端、司令官から「急患」へ
「心配性という名の熱風」がある限り、あの人は無敵だなぁ。
そう思っていたのですが……。
旅行から無事に帰ってきて、さっそくお土産を持って義父の元へ行きました。 「無事帰りましたよ〜」と報告すると、私の顔を見た途端
「おお、そうか、帰ってきたか。……イタタタタタ」
え?
「足が痛いんじゃ。もう痛うて痛うてたまらんのじゃ」
さっきまでの「災害対策本部長」の威厳はどこへ!?
あんなに電話越しに「雪に気をつけろ!」「遭難するな!」と大声を出していたのに、私たちが目の前に現れた途端、一気にしおらしい「おじいちゃん」に戻っていました。
「こりゃあかん、病院に連れて行ってくれ……」
結局、お土産話もそこそこに、スマホのカレンダーを開いて病院の予約スケジュールを組むことに。ちょうど薬をもらいに行く日も近かったので同じ日に済みそうで良かった。

私たちが旅行中で「心配する対象」がある時は、気が張って元気だったのかもしれません。 私たちが無事に帰ってきて、「心配の燃料」が切れた途端、どっと自分の不調に気づいたのかな?
「心配する相手がいるうちは最強、平和になると弱い」
なんだか、マンガのヒーローみたいな(いや、ちょっと違うか)義父。 とりあえず、次回の病院の送迎、行ってきます。やれやれ(笑)。
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