先日、義父を病院へ連れて行った時のこと。
車の中でぽつりぽつりと、最近の施設での出来事を話してくれました。
入居して5ヶ月。
穏やかに過ごしているように見えたけれど、やっぱり集団生活となると、いろいろなことがあるみたいです。

施設で起きている「小さなトラブル」
義父が言うには、食事のテーブルでちょっとした「いじめ」のようなものがあるのだとか。
義父自身がターゲットになっているわけではないのですが。
同じテーブルで食べている大人しい入居者さんが、別の方から「私はあの人が嫌いじゃ」と陰口を言われているそうなんです。
さらにある日、その陰口を言っていた人たちが、ターゲットになっている方に「席を代われ」と迫るような言い方をしたんだとか。
「誰かのことを『嫌い』って言うくらいなら、誰にでもあることで頻繁にあることやけど……」と義父。
でも、さすがに「テーブルを代われ」とまで言うのを聞いて、どうしても我慢できなかったそうです。
いい大人が、しかもいいお年寄りが寄ってたかって…という状況が、許せなかったんだと思います。
たまらず、自分の気持ちを相手に伝えたんだとか。
男性には「なんで男と飯食わなあかんのじゃ!女の人と食べた方が楽しいからだめじゃ!」と。
今の時代、言葉にすると「ちょっとアウトだよ、お義父さん!」とツッコミを入れたくなりますが(笑)
でも、正しさや倫理観よりも何よりも、とっさに庇おうとして出た、お義父さんなりの精一杯のむちゃくちゃな理由だったんだと思います。
(ちなみに、その後で「ワシはただ、今のメンバーで食べるのがいいんじゃ」と言ったそうです。)
そして女性には「みんな決められたところで食べてるんやから、わがまま言ったらいかん。」
「退所して新しい人が入ってくるとかなら話は違うけど、それも施設の人が決めることじゃ。」
「もし席替えするというなら、今から施設の人に言うて、全員変えてもらうようにせんとワシは嫌じゃ!」と言ったとのこと。
それを聞いた相手側は黙ってしまったそうです。
義父らしい、きっぱりとした返しだなぁと、聞きながら少し感心してしまいました。
まるで保育園?集団生活のむずかしさ
そのあと、庇ってもらった方からは「言ってくれてありがとうね、嬉しかったわ」と言われたそうです。
でも、義父の顔はなんだか複雑で、どっと疲れた様子でした。
「これじゃあ、ニワトリ小屋と一緒じゃ…」と義父。
ニワトリも、小さな個体がいじめられたりするそうです。
そういえば昔、さかなクンが「いじめられている魚を別の水槽に移しても、また残った魚の中でいじめが始まる」と言っていたのを思い出しました。
狭い水槽の中ではこういうことが起こる。広い海だとそんなことはないのに。
みんなそれぞれ色々な事情があってここにきていると思います。
もう広い世界に帰れない人だっている。
施設には30〜40人ほどの入居者さんがいます。
中には、食堂には食べに来ない人もいるそうです。
そういう人も、もしかしたら過去にいろいろなことがあって、今のスタイルになったのかもしれませんね。
人間いくつになっても、狭い世界にいると同じようなことが起きてしまうのかも。
義父も「保育園児がおるんかと思ったわ」と、ちょっとあきれたようにディスりながら私にこぼしていました。
自分の心を守るための距離感
しかも、こうしたトラブルは職員さんの見えないところで起きているようで。
施設の入退所も激しく、「あの新しい人が気に入らない」といった声も聞こえてくるのだとか。
そりゃあ、毎日そんな環境にいたら疲れてしまいますよね。
だから義父は、食事が終わったらそそくさと自分の部屋に戻ったり。
休みの日は兄弟と出かけたり。
晴れた日は外へ散歩に出かけたりして、なるべく悪口大会には参加しないように、自分で距離を置いているそうです。
義父の言葉で思ったこと
施設に入れば、安心で穏やかな毎日が待っている。
そんな風に思っていたけれど、現実はやっぱり「人が集まる場所」なんですよね。
義父が自分のペースを守りながら、少しでも心穏やかに過ごせるように。
「病院にこうやっていくのも気晴らしになってなあ」という声を聞いて、私も面会や通院の時は、ただただ話を聞いて、少しでもガス抜きをしてあげられたらいいなと思います。
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